●曲紹介
『雨(あまみ)』
雨は 天(あま)と地(私たち)を結ぶ・・・
この『雨(あまみ)』は、
自然現象の雨ではなく、
雨から 想起された 心を うたにしました。
遍く雨が降る・・・
雨の甘さに 浸って欲しいと 僧が歩んでいる・・・
穀物も、草木も 雨の中で 天の甘さに気づき 応じていく・・
『雨は 天からの贈り物である』
甘い甘い お茶の味は 温もりとともに 喉元に甘さを残す・・・
<創作メモ>
甘い雨。
雨は、天の心を 遍(あまね)く 地に降り注いでいる。
・・・・と、考えたら、どんな曲が出来るだろう?
天から降る雨に しとしとと身を浸せば 天の心に浸れるのではないか?
■聴いて欲しい!
曲始め 雨の足跡を表現した旋律
群の声により立ち上がって来る情景
ラストの歌詞
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『馬の夢』
古代より馬と人は 共に暮らした。
馬塚(古墳)と云う 馬を供養する塚は全国にある。
特に東北地方の家では 人馬一体の家作りがされ、人と馬は同じ屋根に暮らした。
馬の居場所は南側。一番いい所にある。
馬の食料のトウモロコシは 囲炉裏の上に乾燥させられて釣り下がっている。
馬は家族であった。
☆
『馬の夢』は、昔の説話「馬娘婚姻譚」に伝わるお話から インスピレーションをうけて作曲しました。
柳田國男が聞き書いた『遠野物語』にある一節。
貧しい家に 娘と百姓がいた。馬を養う。
この娘、馬を愛した。毎夜、馬の傍に行って眠った。
ある夜、娘と馬は夫婦になった。
そのことを知った父は、馬を殺し桑の木に吊るした。
娘は嘆き悲しみ、馬とともに昇天した。(オシラサマの発祥)
★
作曲した『馬の夢』は馬と娘の恋心のみを書いている。
上の説話は その背景。
美しい旋律の繰返しがあり、
そこに、古を喚起させる声を入れた。
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『音遊び』
平仮名には、一音一音 響きがあって、
対応する「漢」文字もあることから、
日本の50音には、それぞれ世界がある。
母音子音の音は、そもそも「声」だから、高低も加わり、
無数の響きが潜んでいる。
『音遊び』は、
音そのものに含まれている音色を組合せ、反復やリズムをもたせて遊ぶ 「音遊びのうた」です。
音色・・音の感触とは、、
例えば「ドン」。
ドンを解体すると「ド」「ン」
「ド」は発音する前に、一度口を閉じないと発せない、だから、空気の圧がかかる。勢いが出る。
勢いがあるのに「ド」の音は重たく沈む。
感覚として「重」「太」「暗」「擦」。
そして「ン」。
「ン」は音として前に飛ばない。
目一杯大きな声量でも口元で音を潰す。音は飛ばない、むしろ留める。
感覚として「重」「留」「固」。
「ドン」は、勢いを付けながら、その場に落とし留める音、となる。
他者の音をも、防御するような強さがある。
それが音色、音の感触。
音はそのものに、動きや感覚が既にある。
もちろん、連なりとして意味を持たせた方が、音色は増大する。
なんだか、ややこしいことを書きました。。。が、
『音遊び』には意味がない。
でも、聞いていると、、なんだか面白く聴こえてきたり、意味が出てきたりするかもしれない。。
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『鍬を持つ人がいた』
再生への願い。
主旋律を引っ張る人が ころころと入れ替わる。
数小節ごとに拍子が変わる。
同時に4つの旋律を歌い続けるシーンがある。
8分強の大曲。
歌い手はたったの6人。
それで壮大な歌をうたう。
歌いきる集中力と強い意志も感じて欲しい。
<創作メモ>
汚染地帯で生き続ける「息吹く力」を
感じた時に触発されて生まれた歌です。
1.掻きむしられた音
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パフォーマンス『発せず』
私達は、鼓膜を振動させて音を自分の中に引き込みます。
私たちの鼓膜が感知できる音は20Hzから20,000Hz。
鼓膜で感知できない音も世界に漂っている。「声、物音は存在(振動)している」。
聴こえない音に、「共鳴しない態度」でいるのは、つまらない...そこから生まれた『発せず』。
① 聴こえない音
② some sign
③ 聴こえる音
④ 深い瞑りの中で〜私のお経
<創作メモ>
①音は世界に満ちている。
耳を開くと音は鳴りつづけている。こちらが共鳴体になれば、一緒に共振できる。
②Where are you? I am belong to you!
[some sign]気配。
「Yo」は、発音する時の口、喉、声帯を含めた長音部がすでに「Yo」の意味を内在している。
③音は身体から放たれるが、場が共鳴することで自ら増幅する。また、集団で発声することで音と音が違う音を作り出す。
④お経は一個人の心の慰めのためにある。